恋のカルテ
それから数週間後のことだった。
勤務を終えて病院を出ると、すぐ目の前に赤い高級車が停まっていた。
こんな時に限って、警備員は巡回中なのか不在だ。
「こんな所に停めて、ほんと迷惑だよ」
思わず呟いた瞬間、運転席のドアが開く。
中からは、ブラックスーツに身を包んだ佐伯先生のお継母様が降りて来て、私の前に立つ。
佐伯先生にでも会いに来たのだろうか。
無視するわけにもいかず、私は頭を下げた。
「……お久しぶりです、お継母様。いえ、麻生理事長」
「おひさしぶり、高原加恋さん」
「お話したいことがあるのよ。お時間、頂けるかしら」
断らせるつもりなんて微塵もないのだろう。
その手はすでに助手席のドアを開けていた。