恋のカルテ

おそらく先生は、これで患者のデータを確認していたのだろう。

だから私にあんなことを言ったのだ。

だったら、『そのデータはもう確認済みだよ』そういえばいいじゃないか。

ついでに、わざわざありがとうくらい言ってくれてもいい。

ほんと、意地悪な人。

けれど、それで終わってしまったら、自分のとった短絡的な行動を反省することなんてなかったのかもしれない。

だからといって、素直に感謝するつもりはないけど。

「……先生、確認できました。どれも早急に対処が必要なデータではありませんでした。おやすみの所、すみませんでした」

私は眠ったままの先生に声をかける。聞えていなくてもいいと思った。

もう、先生を起こす必要はないのだから。

このまま部屋を出て、オリエンテーションが始まるまでは食堂でコーヒーでも飲もう。

そう思ったのに。

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