恋のカルテ

ようやく休憩時間になると、前の席にいた森くんは椅子ごとこちらを向いて遅刻の理由を興味深げに聞いてくる。

「おはよう、高原さん。今日もなにかあったの?」

「……うん、そうなの」

私はあれから私は佐伯先生と一緒に、あの患者岡崎さんのIC(インフォームドコンセント)に同席させてもらった。

この病院のルールでは、救急搬送されてきた患者はまず救急科の医師が対応して、疾患の特定、もしくは容体が安定した後に内科なら内科、外科なら外科の医師が主治医となるのだそうだ。

ということで、現在岡崎さんの主治医は宮木という循環器の医師なんだけど。

岡崎さん本人が佐伯先生にご執心で、宮木先生の話は全く聞き入れないらしい。

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