【完】 Squall ~いくつもの恋をして~
「ねぇ、DVDで日本語のヒアリングとかやった?」
「今もやってるよ」
「英文聞きながら字幕を追うって苦痛だよね」
「読めない漢字があるから止めて辞書ひかなきゃならないし」
「そうそう。私来たばかりの頃みやちに直帰って何か聞いたの」
課長は楽しそうに聞いてくれた。
何れはアメリカに帰りたい。
日本人なのにアメリカに帰りたい。
帰国って言われるけど帰る国は日本じゃない。
そんな意識が大きい。
だから別れる事が前提な日本では誰かと付き合うつもりがなかった。
茶碗むしをツルリと口の中へ滑らせながら笑うと
「帰りたいよな」
「やっぱりそう?」
「会社の人と桐賢しか知らない」
意外とその呼び方が2人とも気に入ってるようで耳にする度に私は口元が緩む。
「わかるわかる。親しい友人はみんなアメリカ。習慣も何も日本はわからなすぎた。」
みやちがいたから乗り越えられた。
みやちがいなかったら辞めて戻っていたかもしれない。
私の言葉に課長は大きく頷いた。