委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
本当の自分
 ああ、桐島さんの唇って、なんて柔らかいんだろう。まるで夢でも見ているみたいだ……

 夢?

 そうだよ。僕は時々夢に見るんだ。夢の中で、女の子とこんな事をしてるんだ。しかも、前は相手が誰かは分からなかったけど、最近はしっかり、桐島さんと……

 もしかすると、やっぱり今も夢の中なのかもしれない。だとしたら、僕は何をしてもいいのではなかろうか……

 なんて、自分に都合のいい理屈をつけ、僕は夢の中でそうしたように、桐島さんの胸を手で包み込んだ。服の上からではあるけれど。

 彼女の胸は、決して大きいとは言えないが、しかし小さいという事もなく、言ってみれば程よい大きさで触り心地が良かった。

 服の上からではもどかしくなり、桐島さんも抵抗する様子はなく、僕は彼女のTシャツをたくし上げようとした。が、その時、ガチャッという音が聞こえた。

 この音は……ゲッ!

 玄関のドアが解錠された音だ。つまり、母が帰って来たのだ。

 僕は慌てて桐島さんから離れたが、まだ状況を知らない彼女は、トロンとした目で僕を見つめていた。


「母が帰って来た」

「……えっ?」


 僕は桐島さんの手を引き、彼女を起き上がらせながら、母への言い訳を考えた。


「あなたは真琴さんの友達で、彼女の代理で来てくれた。そういう事にしましょう」

「う、うん、分かった」


 僕らはテーブルを挟んで座り、今まさにお粥を食べ終えたところ、みたいな状況をなんとか作ったところで、コンコンと部屋の扉がノックされた。

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