委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「あの人って?」

「お母さんよ」

「俺のか?」

「そう。わたしのでもあるけどね。一応は……」


 真琴は、さも嫌そうに顔をしかめた。どうやら真琴とおふくろはあまり良い関係ではなさそうだ。そう言えば、避暑地へ行った時も真琴とおふくろはあまり仲が良さそうには見えなかった。もしかすると、一言も言葉を交わさなかったかもしれない。


「だから、きっとお母さんはチャンスだと思ったんだわ」

「何のチャンスだよ? っていうか、もっと順を追って説明してくれねえと解んねえよ」


 今度は怒鳴るという程ではないが、かなり乱暴な言い方をしてしまった。イラっとして、自然に口から出たのだ。やはり真琴が言った通りで、本来の俺はワルなのかもしれない。いや、ワルぶってるんだったか?

 いずれにしても、俺は品行方正で真面目な高校生なんかではないらしい。そんな俺に真琴は慣れているらしく、普通に「そうだね、ごめん」と言った。

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