委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
嫉妬と葛藤
「大学の学校案内だね?」


 真琴が横から覗き込んで言った。宛先は田村悠斗、つまり俺宛で、下に大学名と学部が印刷されているのだが……


「何か思い出したの?」


 その封筒を手に取り、ジッとしている俺に、真琴は期待のこもってそうな声を掛けてきた。


「いや、それはない」

「なんだあ」

「でも、変だよな……」


 俺はそこに印刷された大学名と学部に、更にはその存在そのものに違和感を覚えていた。


「何が?」

「これは俺が取り寄せたんだと思うが、なぜこの大学のこの学部なんだろうか。そもそも、まだ高2だった俺が、なんでそんなに早く学校案内なんか……」


 大学名と、特に学部に違和感があったが、これを取り寄せた俺はたぶん事故る前で、今から1年前だから当時は高2のはず。具体的に大学を意識するのは、時期的に早すぎだと思う。


「それは変じゃないよ」

「え?」

「だって、お兄ちゃんは1年前も高3だもん」

「な、なに?」

「お兄ちゃんは事故って長いこと入院したから、単位が不足して進級出来なかったんだ。だから中央高に編入して3年をやり直したんだよ」

「ああ、なるほどね……」


 という事は、俺は桐島さんや阿部君たちより一つ年上って事なんだなあ。なんか、急に自分が年寄りになったような気分だ。

 ともあれ、片方の違和感については説明がついた。だが、もう片方のは……

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