委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「しかし、なんで俺はここの学校案内なんか取り寄せたんだろう」

「そうねえ。この大学も一流校には違いないけど、お兄ちゃんだったらもっと上を望めるはずだよね?」

「まあ、それもあるが、この学部が不思議なんだよなあ」


 大学はそこそこの難関校で、俺が受験したとしてもおかしくはないと思う。しかし学部が不思議だ。なんで“理学部2部”なんだろうか……


「そうかな。お兄ちゃんは理系の人だから、理学部でいいんじゃないの?」

「いや、不思議なのはそこじゃない。“2部”ってなってるだろ?」

「あ、そうだね。でも、“2部”って何?」

「ああ、おまえは知らないか。夜だよ。夜学ってこと」

「え? そうなの? なんで? なんで普通に昼間の学部じゃないの?」

「知るかよ。だから不思議だって言ってんだよ」


 夜学は、昼間の学部と比べると一般に偏差値が低く、入学金や学費も安い。だから昼間よりはるかに入りやすいが、逆に出た後の進路では大きなハンデになる。

 夜学をバカにする気も否定する気持ちもないが、なぜ俺はそれを考えたのかが解らない。なんでわざわざ、ハンデを背負うような道を……

< 147 / 227 >

この作品をシェア

pagetop