委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「ちょっ、あいは……ん……」


 俺は桐島さんをドアに押し付け、舌で彼女の口をこじ開けると、そのまま中に差し込んでいった。すると、初めこそ抵抗していたものの、桐島さんの舌が俺のそれに絡まり、彼女の手が、俺の背中に回った。


 長いキスが終わると、桐島さんは熱い吐息と共に、潤んだ瞳で俺を見つめた。


「好きなんだ、君のこと。だから、友達だなんて言わないでほしい」


 はっきりと俺はそう告げたが、桐島さんの返事はない。黙って俺を見つめるだけだった。

 と、その時、俺の頭の中でカチッと音がし、何かのスイッチが入った気がした。


「あんな男は忘れて、俺のものになってくれよ」

「…………?」

「あいつと、同じ味がしたろ? 俺のキス」

「え?」

「あいつと同じくらい、いや、もっと気持ち良くさせてあげるよ。玲奈」

「え? ちょっと、待って……」


 俺は桐島さんの首筋に舌を這わせ、ブラウスの裾から手を差し込み、彼女の餅のように柔らかな脇腹を愛撫した。不意に思い付いたのだが、それをすると彼女が喜ぶと思ったのだ。すると……


「あっ……」


 桐島さんの口から甘い吐息が漏れた。それに気を良くした俺は、更に手を上にずらしていったのだが……


「やめて!」


 桐島さんに拒絶されてしまった。


「ずるいよ」

「えっ? ずるいって……」

「今日の相原君、おかしい。いつもの相原君じゃない!」

「いつもの俺って、真面目で鈍臭い俺か? 君はそんな男が好きか? 違うだろ? 君は、ワルぶった男が好きなんだろ? 田村悠斗のような」

「相原君、何を言って……」

「実は俺、田村悠斗なんだよね」


バチン!


 頬をおもいっきり叩かれてしまった。目に涙をいっぱい溜めた、桐島さんに。


「バカ! 相原君なんか、大嫌い!」


 桐島さんはマンションの部屋を飛び出し、俺は、ただ呆然と立ち尽くしていた。


 何やってんだよ、俺は……

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