委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「悪いかよ?」

「悪いに決まってるでしょ? 公道で名前を呼ぶなんて、恥ずかしいったらありゃしない」

「そっか、ごめん」

「で、何の用?」

「それがさ、確かおまえ、2年の時、同じクラスだったって言ってたよな? アイスクイーンと……」

「アイスクイーンって……ああ」


 渡辺さんは、僕を見て“ああ、なるほどね”という顔をした。


「そんな事、よく憶えてたわね?」

「俺は記憶力だけはいいんでね」

「それで? だからどうだと言うの?」

「確かさ、彼女、2年の時は今みたいじゃなかったろ? 普通に可愛めだったよな? それがどうしてアイスクイーンになったのか、その辺の事をおまえなら知ってるかなと思ってさ」

「ああ、そういう事? ん……どうしようかなあ」


 渡辺さんは阿部君と僕を交互に見て、何かを迷っているようだった。


「その顔は知ってるって顔だよな? 教えてくれよ。相原のためによ」

「お願いします!」


 すかさず僕は渡辺さんに頭を下げた。桐島さんの話を、どうしても聞きたかったから。


「わかったわよ。ただし……」

< 17 / 227 >

この作品をシェア

pagetop