委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「ん?」

「ここじゃ話せないよ。暑いし、立ち話で済むような話じゃないから」

「だよな。じゃあ駅前のどこかに寄って行こうぜ。もちろん奢るから。相原が……」


 阿部君が“な?”という顔を僕に向け、もちろん僕はしっかりと頷き返した。桐島さんの話を聞きたいのは僕だし、お金は母から十分過ぎる程預かっていて全く問題ないから。


 僕達3人は駅前の洒落た感じの喫茶店に入った。店内は冷房がしっかり効いていて気持ちが良い。4人掛けのテーブルに、僕の向かいに渡辺さん、その横に阿部君という配置で僕らは座った。


「てっきりファーストフード店に入ると思ったら違ったんだな?」


 阿部君がすかさず渡辺さんに言った。僕もそう思っていた。


「だって、ああいう所は煩いし、同じ学校の子がいるかも知れないでしょ? 大声で話せる事じゃないしさ……」

「ああ、なるほどね」


そうなんだ……

 つまり、これから渡辺さんから聞く話は、もちろん桐島さんに関する事のはずだけど、人に聞かれたら困るような話なわけか……


 これから僕は、桐島さんの秘密を覗く事になるのかもしれない。そう思ったら、緊張と不安と、少しの期待で背筋がゾクゾクしてきた。

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