委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
『それはいいけど、おまえ本当に相原か?』

「え? なんで?」

『だってさ、話し方とかいつもとだいぶ違うからさ……。声は同じだけど』


 さすがに阿部君は鋭いなあ。


「そういう事も含めて説明したいんだ」

『ふ〜ん、なんだかよくわかんねえけど、すぐ行くわ。確か、相原んちってさ……』

「違うんだ。今住んでる場所はそこじゃないんだ」

『なに! 引っ越したのか?』

「まあね。会ったらそれも説明するよ。ここの住所だけど……」


 ここの住所を告げると、30分ぐらいで着くだろうと阿部君は言った。


 家でじっと待つのはもどかしいので、外に出て公園の横で俺は阿部君を待った。木の陰で西日を避け、やぶ蚊に刺されながら……

 しばらくして、阿部君らしき若者が乗ったバイクが、こちらに向かって走って来るのが見えたので、路に少し出て待つと、俺の目の前でそのバイクは止まった。ヨーロピアンスタイルの、かなり格好いいバイクだ。

 そしてサイドスタンドを立て、背筋を伸ばし、慣れた仕草でフルフェイスのヘルメットを脱いだのは……


「よお!」


 相変わらず笑顔が爽やかな阿部君だった。

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