委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 俺は慌ててブレーキをかけ、桐島さんが立っていた辺りでバイクを停車したが、そこに桐島さんの姿はなかった。やはりさっきのは幻だったようだ。

 それ以前に、目眩と頭痛がしてきて、俺は目を開けていられなかった。それで目を瞑ると、パッという感じで桐島さんの顔が目に浮かんだ。

 その桐島さんは、俺が知ってる桐島さんとは少し違う気がする。さっき見た幻の桐島さんもそうだったが、眼鏡を掛けていないのだ。それに、ほんのわずかではあるが、俺が知ってる桐島さんより幼く見える。

 そう。今、俺の脳裏に浮かぶ桐島さんは、おそらく1年前の彼女だ。つまり、記憶と共に忘れてしまった桐島さん。いや……玲奈だ。


『もう……。いつも言ってるのに、またスピード出してたでしょ?』


えっ?


『え、じゃないわよ。私、見てたんだからね。スピード出すと危ないから、本当にやめてほしのよね』


 玲奈は、口を尖らせた怒った顔で、と言っても少しも恐くはなく、むしろ可愛い顔でそう言った。そして俺は思い出した。

 それは、かつて玲奈から何度となく言われ続けた言葉だった事を……

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