委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 スマホの画面を見ると、なんとそこには“相原悠斗”の文字が表示されていた。

 まさか、相原君からまた連絡が来るとは思っていなかった。あんな別れ方をしたからだ。でも、一方ではそれを期待する自分もいるわけで……

 私は振動を続けるスマホを手に持って通話にスライドさせ、深呼吸をひとつしてそれを耳に当てた。


「もしもし」

『あ、玲奈さん?』


 その声を聞き、私は一気に落胆してしまった。悠斗のそれに似た、相原君の声が聴けるとばかり思ったのに、違ったからだ。たぶん、その声は……


「はい、そうですけど……」

『真琴です』


 やっぱりかあ。前にも一度あったけど、相原君のスマホで真琴さんが私に電話をしてきたらしい。


 あっ。という事は、相原君に何かあったの?


『おに……』

 おに?

『あ、相原悠斗さんが、交通事故に遭って……』

「えっ?」


 ま、まさか……


『今、入院してるんです』

「…………」


 それを聞き、私はホッと胸をなでおろした。だって、交通事故と聞いた時、最悪な事を想像しちゃったから。


『玲奈さん?』

「あ、はい、ごめんなさい。それで、彼の容体は……?」

『それは…… とにかく、来てくれますか?』

「も、もちろん行きます」

『よかった。病院は……』


 真琴さんから病院の名前と部屋の番号を教えてもらうと、私は大急ぎで出掛ける支度を始めた。一抹の不安を覚えながら。

 私が相原君の容体を聞いた時、真琴さんが言葉を濁したのはなぜだったんだろう……

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