委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜

~玲奈Side~

ハァー

 私は大きなため息をひとつつき、参考書から顔を上げた。机に向かってはみたものの、ちっとも勉強がはかどらない。彼のせいだ。相原君が、私の心を乱すから……

 相原君と交わしたキスや、首筋や脇腹に触れた彼の唇や指先の感触が、数日経った今も生々しく蘇り、私の体を熱くする。


 相原君は、私の事を好きだと言ってくれた。でも私は、どうなんだろう……


 “相原君なんか、大嫌い!”

 そう叫んで私は彼の部屋を飛び出したのだけど、本当だろうか。本当に彼が嫌いなんだろうか。確かにあの日の彼は変だった。乱暴で、意地悪だった。でも……


 今でも、朝起きるとスマホをチェックする癖が抜けていない。でも、以前は悠斗からの連絡を期待して、だったのだけど、いつの頃からか、相原君からの連絡も期待している私がいる。という事は……

 まだ好きとは言えないかもだけど、私ははっきり相原君に惹かれている。まだ悠斗を忘れていないのに。まだ悠斗を好きなのに……


 長いようで短い夏休みは、いつの間にか残り一週間を切っていた。相原君とは、たぶん学校で会うまで会う事はないと思う。

 学校で彼に会ったら、私はどんな顔をすればいいのだろう。いったい何を言えば……

 それを思うと憂鬱だけど、一方で早く彼に会いたいという気持ちもあり……


 再びため息をついた時、脇に置いていたスマホが激しく振動した。

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