委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「悠斗、本当に憶えてないの? 本当は憶えてて、ふざけてるだけなんじゃないの?」

「何言ってんだよ。本当に決まってるだろ?」

「ほんとかなあ。怪しいな……」

「ほんとだって……」

「あ、そうだ。あまりな事にびっくりして、忘れてた」

「何をだ?」

「え? また悠斗に会えて、嬉しいなって言うのを……」


 私は甘えるような声で言い、体を傾けて悠斗の肩に頭を乗せた。ところが、すぐに悠斗にグイッと押し返されてしまった。


「それは良かったが、ごまかそうとしてないか?」

「何の事?」

「あいつとキスしたのかしないのか、答えろ」


 チッ。うまくごまかせたと思ったのになあ。


「知らない」

「知らないって何だよ。したって事か?」

「2回だけだもん。しかも2回とも相原君、つまりは悠斗がしてきたんだからね!」

「くそっ、やっぱりしたのか。許せん、お仕置きだ!」

「え? ちょっと待って……」


 悠斗の顔が間近に迫り、でも、肩をがっちり掴まれていて身動き出来ない。


「人に見られるからダメだって……」

「構うもんか」

「や……ん……」


 悠斗には言えないけど、この前したキスも素敵だった。でも、あの時と違って今は戸惑いや罪悪感がないので、更に私はキスに没頭する事が出来た。本当に人が見てるかもしれないのに……

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