委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 僕らはゴルフ場の中のちょっとしたレストランで食事をした。食事中も、相変わらず母と真琴さんは口数が少なく、田村さんが一人で喋ってるような感じだった。

 その多くは僕への問い掛けで、友達は何人ぐらいいるのかとか、休みの日は何をしているのかとか、テレビはどんな番組を観るのか、といった当たり障りのない事ばかりだった。

 そう言えば、勉強や進学については何も聞かれなかった。おそらく田村さんは、そういった事には興味がないのだろう。


 食事の後はそのゴルフ場でパターゴルフなるものをやった。もちろん4人で。

 僕は初めてやったのだけど、ボールを穴に入れるだけの単純なゲームながら、案外楽しかった。さすがに田村さん父娘は遊び慣れてる感じで、たぶん過去に何回も経験があるのだろう。

 でも不思議な事に、母も遊び慣れてるように僕には見えた。


「母さん、これやった事あるの?」

「え? どうして?」

「だって、やり慣れてる感じだからさ……」

「そ、そう? 昔やった事があるのよ」

「ふーん、そうなんだ……」


ま、別にいいんだけどね。


 パターゴルフの後、いよいよ僕らは田村さんが所有する別荘へ行った。

 田村さんが言うには、小さいし、一等地の少し奥に位置するので格安で購入したと言うけれど、二階建てで部屋数はたぶん10部屋ぐらいあり、僕にしてみれば十分に大きく立派な別荘だった。

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