委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 貴志ったら、急に何を言い出すんだろう……

 私のふたつ年下、つまり高1の貴志は、今では私の背を遥かに追い越し、上から私を見下ろして変な事を口走った。体は大きくなっても、中身はまだまだ子どもだと思っていたのに、“ヨリを戻す”だなんて、いつの間にかそういう事を言うようになったのね……


「なあ、どうなんだよ?」

「“あいつ”って?」


 悠斗の事だと知りながら、つい私は惚けてしまった。悠斗の事は過去の事として、もう気にしていないのだと、暗に虚勢を張ってだと思う。実際には、悠斗の事を想わない日は、一日たりともないのだけど……


「“あいつ”と言ったらあいつに決まってんだろ? 東高のバイク野郎さ」

「ああ……。まさかでしょ?」

「そっか。じゃあ、新しい彼氏ができたのか?」

「か、彼氏って、なんでそうなるのよ?」

「だってさ、姉貴は塾に行く時、二人分の弁当を作ってたじゃないか?」

「あ、あれは、友達の分だもん」


 むむ。貴志ったら、何を言い出すやら……

 夏期講習の2日目、相原君が私の隣でコンビニ弁当を食べるのを見て、『相原君のお弁当も作ろうか?』って、つい私は言ってしまったんだ。そして3日目からそうしたのだけど、母には同級生の女の子の分だと説明し、母は『そう?』としか言わなかった。


「お袋はそれを信じたっぽいけど、おれは騙されないぜ」

「べ、別に騙してなんか……」


 私は背中に、変な汗を掻いてしまった。

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