LOVE or DIE *恋愛短編集*
ゆっくり立ち上がる。
足を一歩踏み出す。

公園を出て、横断歩道を渡る。

コンビニの駐車場に足を踏み入れたときに、心臓がひとつ大きく高鳴った。


まだ、中の様子は見えない。


自動ドアが目前に迫る。

無料情報誌が立てかけてあるラックが邪魔で、レジはやはり見えない。

もう一度、ゆっくり深呼吸をした。






『ピロピロン』

最後の一歩を踏み込んだと同時、前と同じ緊迫感のない音が響いた。



そして―――



「いらっしゃいま・・・あれ。こんばんは!」

彼女はいた。

悠太を見て、彼が悠太だと―――先日小銭をばらまいた客だと、はっきり認識したようだった。




―――もう、認めよう。これが、俺の、初恋だ―――
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