LOVE or DIE ＊恋愛短編集＊
――――
―――
「悠太は柏木以外の誰かに恋をしていることが判明した！」

クラスメイトの白石　純也が叫んだ大声は、自然と紗耶香の耳に入ってきた。


―――それは、昨日の【彼女】なんじゃないの？


思わず声が聞こえてきた方を凝視してしまう。

「誰だ誰だ」と騒ぐ友人たちに囲まれた中心では、佐野　悠太がめんどくさそうに頭を抱えている。


―――誰にも、教えてないんだ彼女のこと。


人目を避けるように小さな公園で何度も顔を洗っていた悠太の様子を思い浮かべる。
30分も２人で話し込むくらいの仲なのだから、毎日通っているのかもしれない。
もしかしたら、片想いとかじゃなく、もう付き合ってるんじゃないだろうか。
思考をめぐらせながらそのまま悠太を見つめていたら、不意にバチッと目が合った。


―――うわっ！やば！


慌てて目を逸らす。
偶然とは言え彼の秘密を見てしまったと思うと、罪悪感に襲われる。

ごめんなさい、何も見てません、誰にも言いません。
心の中でそう唱えながら、紗耶香はその場を後にした。
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