LOVE or DIE *恋愛短編集*
「まあ、それくらいだったら大して心配してなかったんだけどね、今月の頭だったかに、河川敷の花火大会があったろう?」

はい、と彩萌は頷いた。

「あの日、帰ってくるなりまた部屋に閉じこもったんだ。そもそもアイツが花火なんかに行くのも初めてだったんだよ。そしてね、次の日から、今度はタオルを持たなくなったの」

そこで初めて彩萌は、「え?」という反応をした。

「走る時間が元に戻ったんですか?」

「いや、そうじゃないんだ。1時間半のままなんだよ」

彩萌も自分と同様、そのタオルには、何か重要な意味がある気がしているのかもしれない。
目をぱちぱちさせながら、しきりに首を傾げた。

「でも、引きこもったのは・・・」

「うん、関東大会で3年生が引退した日からだよ」

言いよどんだ彩萌の質問のあとに続けるようにそう答えると、彼女はさらに分からない、という顔で眉をハの字に下げた。

同級生の彩萌なら、何か知っているかもしれない。
そんな期待は裏切られたようだ。
それでも、彩萌が直接話をしてくれたら、何か変わるかもしれない―――。

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