失恋のその先に
ハンカチを水に濡らし額に当て反省する。
ホント私は馬鹿だ。草太から逃げたくてこんな所まで来てしまったあげく酔っぱらうなんて。
工藤さんには申し訳ないが帰ろうと思い化粧室を出ると、正面の壁に体を預け腕を組んで立っている工藤さんがいた。
「あ、工藤さん。私はお先に…」
最後までは言えなかった。だって、彼に引き寄せられ唇を塞がれてしまったから。
必死に押し返そうとするものの、私の力では及ばずさらに深くなる口づけ。
彼の手がブラウスの裾から入り込んできた時点で危機を察知した私は、必死の思いで彼の脛をヒールで蹴飛ばした。
待て!と言う工藤さんの声が追いかけてくる。
階段をかけ上り地上に出てからは、足がもつれて転びそうになりながらも走り続けた。
息が切れ苦しくて意識が飛ぶ瞬間、懐かしい声と温かなぬくもりに包まれた気がした。