失恋のその先に


なにかが私を温かく包みこんでくれている。
それはとても安心出来て私を深い眠りに誘ってくれた。


ふと目が覚めるとまだ辺りは薄暗く夜明け前のようだ。だんだん意識が覚醒すると同時に気づく、私を後ろから抱きしめてる男性の腕。


この腕は誰のもの…?


後ろを恐る恐る振り返れば、すやすやと眠る大智がいた。 え…大智?


たしか工藤さんの手から逃げ出した後、走って走って…そのあとは…? うーん…。どうして大智と一緒にいるのかが思い出せない。


もしかして助けに来てくれた?なんて都合のいいように解釈してみたりして。でも草太とつき合っている頃から大智は優しかった。


仕事の愚痴だって大智は何も言わずうんうんと聞いてくれた後に、きちんとアドバイスを言ってくれた。


私にとって大智は気の合う最高の友人なのだ。だからこんな風に抱き合って寝ていたとしても、何も起こらないし変な気も起きない。


そして私が何より驚いているのは、久しぶりに安らいだ気持ちでぐっすり眠れたことだ。


信頼できる人間が側にいるってことは大事なことなのかもしれない。ふと会社を辞めて実家に帰ろうかなと、その時初めて思った。




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