Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
「適当に買って来た。好きなサンドを食べてくれ」


「ありがとう…」


「暗いな…」


俺が遮光カーテンを一気に引くと、朝の眩い光が降り注いだ。


昨日の嵐が嘘のように空は青く澄み渡っている。


「綺麗…」


紗月が俺の元に歩み寄って来た。


一緒に並んで、硝子越しに朝の海を眺めた。


朝日を受けて銀色に染まったように見える海。


「カモメが飛んでる」


空には白い渦巻のようにカモメの群れが舞っている。



「本当だ、カモメが飛んでるな」


俺は紗月の首筋に付けたキスマークを指先でなぞる。反射的に肩を揺らす紗月。



「君って感じやすいね…」

「怜…」


俺達は朝の優しい陽光を全身に受けてキスを交わした。
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