Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
私はサンダルを脱いで、そのままゆっくりと両足を湯に浸した。


「気持ちがいい…」


「この分だと温泉も楽しみだな…」


私の両親に結婚の報告に来たのに、怜はすっかり、観光気分。


私の実家までは手っ取り早くタクシーで、都心のタクシーとは比べ物にならない位のろのろ運転で走っていく。


田舎と都会では時間の動きも違う。


都会の人は何処か、日々時間に追われて忙しない。


賑わいを見せていた駅周辺を抜け、緩いカーブを過ぎていくと、見慣れた光景が見えて来た。


電車の車窓からも見えていた長閑な田園風景。私は馴染みの風景に胸を撫で下ろした。




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