Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
舗装された道路が途切れたあぜ道の向うが私の実家。


路面の切れ目で、タクシーを停車させて精算した。



「紗月の実家ってどこだ?」


「あれよ」


私は実家を指差す。自然と緑に調和した古びた家が実家だった。



「へぇ―…あれか…」


私と怜は並んで、畦道を歩いた。


私達は共に夏を過ごして、既に9月下旬。

夏も既に遠ざかって、怜の装いも半袖の白のシャツ姿ではなく、上にコットン素材の水色のジャケットを羽織っていた。



「さっちゃん!!紗月!!」


つばの広い麦わら帽子を被り、首に捩じった白いタオルを巻いた母親が黄金色の稲穂の群れを背に、大声で私を呼び、手を振っていた。


今の時期は丁度、収穫の季節ーーー・・・
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