Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
長野のお茶の時間に野沢菜が出て来るのは本当だった。


紗月の義父も帰宅。


「初めまして、神楽坂怜です」


「義理ではありますが、父の角南太一と言います」
父親とは血が繋がっていないコトは訊いていた。紗月は複雑な家庭環境で育っていた。
彼女の明るい性格を見ただけでは判らなかった。彼女の純粋なひたむきさは、恵まれた家庭環境にあったと思っていたから。




「事後報告になりますが、紗月さんとは、6月30日に入籍しました」


「『レオン』の社長さんと結婚したと訊いた時は、正直驚きました。こうして、社長さんが自ら、こんな汚い我が家に挨拶に来て下さるとは嬉しいです」



「ありがとうございます…」


「紗月、しっかりがんばるんだよ」



「お母さん…」


「神楽坂さん…紗月をよろしくお願いします…」



「はい・・・」


あっさりと紗月の両親は俺を夫として認めてくれた。

子供が生まれたら離婚する結婚なのに。

俺は両親に対して後ろめたさを感じずにはいられない。




< 128 / 355 >

この作品をシェア

pagetop