Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
「・・・」


紗月の実家には囲炉裏があり、奥の部屋には、ワイドな液晶テレビの画面が見える。


今と昔の文化の融合を見ているようで面白かった。


「凄いな…」


「何が?」


「いろんな意味で凄い…」


「お茶用意するから…待ってて」


「ああ」



俺は囲炉裏の前に正座をして辺りをキョロキョロと眺める。


台所でお茶を用意する紗月の背中も見えた。


「足、崩して下さい。神楽坂さん」


紗月の母親は俺達を追い駆けて慌てた様子で帰宅。首に掛けたタオルで額に滲んだ汗を拭きながら紗月に指示をした。


「紗月…冷蔵庫に野沢菜あるから…それもお願いね…」


「はーい」




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