Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
私達は一緒に陶器で出来た浴槽に入った。


硝子越しに松本市内の夜景を見つめる。


「怜のおかげでやっと里帰り出来たわ。ありがとう…」


「いい両親だね…」


「そう思う?」



「思うよ…」


身勝手で親不孝な私に文句一つ言わず、家に入れてくれた親の懐の広さには頭が下がる。


「式挙げようか?」



「式って?」


「結婚式だよ…」


「それは無理…」


「だって…この結婚は…」


「式が嫌なら、写真位は撮って…君の両親に贈ろう」


私の両親に対するけじめから出た言葉か…


「怜がそう言うんなら、いいけど…」


写真位は想い出の品として残しておきたいよね…私と怜の結婚したと言う証にもなるし。









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