Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
怜は朝食を終え、綺麗に布巾で拭いた食卓に婚姻届を広げる。


『早く書け』言わんばかりの威圧的な視線で私のボールペンを持つ手を見つめた。


私は自分の名前をゆっくりと書き込んでいく。


ボールペンを持つ手が震えていた。



「緊張してるのか?」



「当たり前です…」



「俺も緊張した…」


怜は私の捺印を見届けると早速、取り上げて見直す。



「これで…君は神楽坂紗月だ」



「子供さえ産めば…離婚して角南紗月に戻れるんですよね」



「そうだな…」


怜は相槌を打ち、婚姻届を持って椅子を引いて立ち上がった。






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