Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
怜は食卓の椅子に座って、サラダのプチトマトに箸を伸ばした。


「どうぞ」


私は怜の前にコーヒーの入ったマグを置く。



「紗月…後で婚姻届に名前を書いてくれ…週末に病院に行くんだ。緊急に君の保険証カードを作成しないとな」


「保険証カードなら…私持っていますけど…」


「お前は俺の妻だ…」



「わかりました。後で名前を書きます…」


怜は嬉しそうに笑い、トーストを齧った。


「バターつけないんですか?」



「へっ、あ…つける。俺としたコトが何をやってんだ。全く」


怜は何だか動揺していた。

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