キミと帰る道
「すず、顔色悪いけど…大丈夫?!」
「うん。 …私は大丈夫」
「あのね、すずちゃん」
藤谷くんは目を覚ましたのに。
聖羅ちゃんだけがなんだか浮かない表情をしていた。
「……聖羅ちゃん?」
「光輝のお母さんから聞いたんだけど…。 もしかしたら、このまま病院に行っても、すずちゃんは傷つくだけかもしれない」
「……っえ?」
その言葉を聞いても中々理解に繋げない。
…どういうことなの?
だって、藤谷くんは目を覚ましたんでしょ?
それなのに、どうして私が傷つくの?
頭の中にはクエスチョンマークしか浮かばない。
「覚悟…したほうがいいと思うの」
「ねえ、聖羅。 それってどういうことなの?」
どうやら優芽ちゃんも知らないみたい。
だけど…〝覚悟〟ってなに?
私はなにを覚悟して藤谷くんに会えばいいの?
謎だらけだよ…。
「光輝のお母さんが、光輝に事故のときどんな感じだったのかって聞いたらしいの」
聖羅ちゃんの言葉に耳を傾ける。
だけど聖羅ちゃんは『そしたらね…』と言ったあとに、固く口を閉じた。