キミと帰る道
「聖羅ちゃん、続きは…?
お願い。 ちゃんと話して?」
「……うん」
聖羅ちゃんは歩いている足を止めた。
そして、ゆっくりと閉じていた口を開いた。
「光輝はね『ひとりで帰ってたらいきなりなにかが落ちて来た』って、言ってたらしいの……」
「……ひとり、で?」
どういうこと……。
失顔症…?
でも、そんなことはないはずなのに。
「〝記憶障害〟かもしれないって———」
記憶障害…。
藤谷くんの記憶から私が消えたってことなの?
そんなのって……残酷すぎるよ。
「きっと頭を強く打ったんだと思う」
「……藤谷くんは忘れてない。
私のこと覚えてくれてるはず」
聖羅ちゃんに言葉を返すと言うよりかは、自分に言い聞かせるように言った。
信じられなくて。
藤谷くんと直接会わなきゃ、こんなこと信じられない。