キミと帰る道
*
「……え? 藤谷くん?」
屋上のドアを開くと、フェンスに寄りかかって座る藤谷くんがいた。
久しぶりだな……。
もう、忘れちゃったかな?
「実は! 光輝と付き合うことになったの〜!」
聖羅ちゃんは、藤谷くんの隣に座って。
藤谷くんの左腕に右腕を絡めた。
え? …聖羅ちゃんと藤谷くんが付き合ってる…?
嬉しそうな聖羅ちゃんの言葉が、頭をぐるぐると回る。
「おい、聖羅。
誰だよ、こいつら…」
「〝こいつ〟とはひどいな!
あたしの友達の…すずちゃんと優芽ちゃんだよ!」
なんでだろ。
いままでは…『誰?』って聞かれても大丈夫だったのに。
……いまは、ものすごく辛くて。
胸がとてつもなく痛むよ。
「……すず?」
ふと、藤谷くんに名前を呼ばれて。
足元を見つめていた視線を、藤谷くんに移す。
「……へ?」
いまなんて…?
なんで、私の名前を……?