キミと帰る道











「……え? 藤谷くん?」





屋上のドアを開くと、フェンスに寄りかかって座る藤谷くんがいた。





久しぶりだな……。
もう、忘れちゃったかな?





「実は! 光輝と付き合うことになったの〜!」





聖羅ちゃんは、藤谷くんの隣に座って。
藤谷くんの左腕に右腕を絡めた。





え? …聖羅ちゃんと藤谷くんが付き合ってる…?





嬉しそうな聖羅ちゃんの言葉が、頭をぐるぐると回る。





「おい、聖羅。
誰だよ、こいつら…」




「〝こいつ〟とはひどいな!
あたしの友達の…すずちゃんと優芽ちゃんだよ!」





なんでだろ。
いままでは…『誰?』って聞かれても大丈夫だったのに。





……いまは、ものすごく辛くて。
胸がとてつもなく痛むよ。





「……すず?」





ふと、藤谷くんに名前を呼ばれて。
足元を見つめていた視線を、藤谷くんに移す。





「……へ?」





いまなんて…?
なんで、私の名前を……?





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