嫌われ者に恋をしました

 うつむく雪菜を見下ろした時、隼人はハッと気がついた。見下ろした雪菜は、見たことのない雪菜だった。

 黒髪が柔らかく肩にかかった雪菜。ショートパンツから伸びる白くて長い脚が妙に艶かしくて、目が釘付けになった。

 よく見ると、足は裸足で汚れていた。裸足だなんて、必死で逃げたんだろう。痛かっただろうに。

「足、大丈夫か?痛くない?」

「はい、大丈夫です。ただ、課長にお願いしたいことがあって……」

「何?」

「ここで売っている簡易スリッパを買っていただいてもいいですか?私、お財布持って来なかったので……。お金は後で返しますから」

「スリッパ?いいよ。お金は返さなくていいから」

 隼人が言われたスリッパを手に、レジから声をかけると奥から小太りの店員が出てきた。

「ああ、お嬢ちゃん。お迎えが来たんだ?良かったねえ」

 店主と思われる年輩の店員がニコニコしてそう言うと、雪菜は頭を下げた。

「はい。ありがとうございました」

「え?」

「さっき助けていただいたんです」

「そうでしたか。それは、ありがとうございました」
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