嫌われ者に恋をしました
雪菜が荷物をまとめるのを待って出発した。雪菜はなぜかじっと部屋を見てから玄関の鍵を閉めた。
「眠くない?」
「はい、大丈夫です」
「だいたい1時間くらいだけど平気?」
「はい」
ドライブなんて、隼人も久しぶりだった。ドライブと言っても高速に乗って横浜まで行って戻ってくるだけ。でも、途中の工場地帯とか横浜の夜景が綺麗だから、そのドライブコースはわりと気に入っていた。
隼人が助手席の扉を開けて「どうぞ」と手を出すと、雪菜は少しはにかんで手を取った。
この車は車高が高いせいか、雪菜はさっき乗るのに手こずっていた。だから手を差し出してみたのだが、どっちにしても乗りにくそうにしていた。
そんな雪菜の、車に乗り込む時の脚の長さをこっそり満喫している自分は「鬼畜」ではないけれど「畜」くらいまでは至っているような、そんな気がした。
車が走り出すと、雪菜は窓の外の景色をじっと眺めていた。やっぱり、好きなんだろうな、ドライブ。
聞いても仕方がないのに、どうしても聞きたくなった。
「瀬川ともドライブ、よく行った?」
「え?」
「ドライブ、好きみたいだから」
「いえ、行ったことありません。ドライブは、今が初めてです」
「え?ふーん、そう」
そうなのか?考えてみたらそれもそうか。家族を乗せる車に雪菜を乗せるわけがない。まあ、レンタカーという手もあるが……。