嫌われ者に恋をしました
洗いざらしの髪にTシャツと七分丈のズボンを履いた課長は、会社で見るよりかなり若く見えた。すごくかっこよくて、ぽーっと見蕩れてしまった。
家に来て、きょろきょろしながら肩身が狭そうにしている課長もすごくかわいくて、あの時言えなかった「好きです」を言おうとしたのに「素敵です」なんて言うだけで限界な自分が情けなかった。
課長のことが好き。
ドライブもとても楽しい。
でも、この後は課長の家に行くことになっている。
家に行くと言うことは泊まると言うことで。泊まるということは、やっぱりそういうこと、なんだろう……。
やっぱり怖い。キスをして抱き締められて、それはとても嬉しかった。でも、その先にあることを考えると、とても怖い。
あんなの痛いだけなのに。暗闇の中、ひたすら苦痛が通り過ぎるのを待つだけの切り取られた時間。
瀬川さんはわざと痛いことをするのが好きだった。嫌がるとますます力を強くして、本当は気持ちいいんだろう?と言ってきた。あんまり嫌がると機嫌が悪くなるから、私は何も言えなかった。でも本当は、全然気持ちよくなんてなかった。ただただ屈辱的だった。
セックスで女が気持ちいいなんて、そんなの男の人の幻想にすぎない。男の人が気持ちいいだけの行為。
課長と瀬川さんは違う。課長は優しい人。でも、課長も男の人。この優しい人がどんな風に豹変するのかを考えたら、怖くてたまらない。できることなら、このままがいいのに。
それに、裸も見られたくない。見られたら、嫌われてしまいそうで怖い。でも、求められて断ることなんてできない。そんなことをしたらやっぱり嫌われてしまいそうで怖い。
こんなに楽しくて幸せな気持ちになってしまったのに、嫌われるなんて怖ろしくて考えられない。
怖い、嫌われたくない、の堂々巡り。
もう、どうしたらいいのかわからない。