嫌われ者に恋をしました

 いったい何が怖いんだろう。

 隼人は雪菜を腕に感じながら、何を怖がっているのか、聞きたいのに聞けないまま抱き締めていた。

 そうやってずっと腕の中に閉じ込めておきたかったのに、しばらくしたら「お買い物に行くんですよね?」と雪菜が言うから、渋々隼人は手を離した。

 そもそも買い物に行こうと提案したのは自分だから、仕方がない。

 帰り道「夕食は何が食べたい?」と聞いたら「何か作りましょうか」と雪菜は言い出した。雪菜に作ってもらうのも悪くはないが、できるだけ一緒に過ごしたくて「何か一緒に作ろう」と言ってみた。

 雪菜は少し驚いて、それから嬉しそうにうなずいた。だから、いったん帰ってから一緒に買い物に行くことになった。

 それなのに、帰った途端すぐにベタベタしたくなった。ずっと雪菜に触れていたい。買い物に行こうなんて言わなければよかった。

 でも言った手前、仕方がないから手を繋いですぐ近くのスーパーに行った。自分で提案したとはいえ、雪菜とスーパーで買い物をするなんて、こんな所帯じみたことをしている自分がなんだか不思議だった。

 そう言えば何を作るのか、決めていない。

「なに作る?」

「何がいいですか?」

「んー、お好み焼きとか?」

 一緒に作るなんてお好み焼きくらいしかパッと思い浮かばなかった。

「お好み焼きは作ったことがないです」

「そうなんだ?俺は実家でよくやってたから、なんとなくわかるよ」

「じゃあ、お好み焼きにしましょうか?」

「うん、そうしよう」
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