嫌われ者に恋をしました

 野菜コーナーでキャベツを手に取る雪菜は、会社で見る雪菜とは全く別の存在で、柔らかく温かい空気を纏っていて、本当に愛らしく思えた。

 このかわいい人が俺から離れたいなんて言う日が来るんだろうか。……美生のように。

 美生と雪菜が違うことはわかっている。美生と雪菜は全然違う。今思えば美生は俺より俺の未来の出世に目をつけていた。だから、別口でもっとお買い得が現れたから離れていった。

 でも雪菜は違う。雪菜は俺を見ている。

 美生から好きな男ができたと言われた時、プライドもあって簡単に離れていくことを許してしまったが、雪菜は許せない気がする。俺から離れるなんて絶対に許さない。

 さっきは嫌われたら心が死んでしまうなんて言ったが、雪菜から他に好きな男ができたなんて言われたら、気が狂いそうだ。

「材料はこんなところでしょうか?」

 雪菜に言われてハッとした。

「そうだなー、あと天かす入れるとおいしいんだ」

「そうなんですか?」

「そうそう」

 我ながらよく覚えているものだ。家でお好み焼きを作ったのなんて何年前だろう。
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