嫌われ者に恋をしました

 食べ終えて皿を洗ったら、またソファに戻ってきた。

 雪菜が隼人の横に座ると、隼人は突然雪菜の背中と膝の下に手を入れて「よっ」と言うと、ふわっと抱き上げて自分の膝の上に乗せた。

 抱き上げられるなんて思わなくて、隼人の突然の動きに驚いて「ひゃあっ」と変な声を出してしまった。

 隼人の膝の上で抱え込むように抱き寄せられたら目が合って、雪菜はドキドキした。

「あ、あの……」

「嫌?」

「い、いえ。嫌ではありませんが」

「じゃあ、なに?」

「……ドキドキするので」

「今さら?」

 隼人の声が耳元で声が聞こえてくすぐったくて、ますますドキドキした。

「雪菜の話を聞かせて」

「あ、はい。えっと、……子どもの頃の話でしょうか?」

「まあ、そうだね。雪菜のことを知りたいし、知って不安にならない方法を一緒に考えたいんだよ」

「……はい」

「俺と一緒にいる時は不安なんか感じないで、純粋に幸せを感じてほしいってだけなんだけどね」

 確かに、さっきは不安になってなってしまった。私の不安を察してそんな風に考えてくれるなんて……。

 雪菜は何から話すべきか、少し過去に思いを巡らせてから、自分の話を始めた。

「私、……仙台の出身なんです」

「あっ、そうなんだ?」

「はい。高校までお母さんと仙台に住んでいました。
 お母さんは、二十歳の時に私を産んだそうです。……若いですよね。お母さんは高校卒業してからずっとお店で働いていて、……お店って水商売なんですけど、そこで知り合った方がお相手だったそうです。
 でも、お相手の方はご家族のある方で、私が二歳くらいまでは二重生活をしていたらしいんですが、結局ご家族の元に戻ってしまったそうです」

「じゃあ、お父さんは生きてるんだ?」

「たぶん。でも、写真はみんな捨てちゃったみたいで……。顔も名前も知りません」

「……そっか」
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