嫌われ者に恋をしました

「言えないようなこと?」

「……」

 やっぱり雪菜は答えないから、少し意地悪をしてみたくなった。

「言えないなんて、他の男のことでも考えてたのかな?」

「そんなわけありません!」

「じゃあ、何考えてたの?」

「それは……」

「言えないなら、言えるようにしてあげる」

 そう耳元で囁いて首筋に唇を這わせた。

 雪菜は夢中になると敬語で話さなくなる。でも、それを言うときっと頑張って敬語で話そうとしそうだから、言わないでおこう。

 それに、けっこう大胆なことを言い始める。雪菜が感じたことを一生懸命伝えようとするのはかわいくて、本当に嬉しい。

 あんなに無表情だった雪菜が瞳だけでなく、表情だけでなく、言葉にして伝えようとするなんて。

 雪菜は涙目で見つめてきた。

「どうしてほしいの?」

「やだ……、いじわる、おう、じ」

「へ?」

 一瞬聞き間違いかと思ったが、雪菜がハッとした顔をしたから聞き間違いではないらしい。俺を王子様か何かだと思っているのか?

 それも意地悪王子だなんて、とんでもない発想をする。そんなの……、かわいすぎだろう。
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