嫌われ者に恋をしました
シャワーを浴びてリビングに戻ると、雪菜はソファに寄りかかって目を閉じていた。眠いのに待っていてくれたんだろう。
今日からうちに住んでもらうのに、いきなり一人にしてしまったから機嫌が悪くなるかと思ったが、ストレートに寂しいと表現してくれて嬉しかった。
抱き上げようと体の下に腕を差し込んだら、雪菜はハッと目を開けたが、気にせず強引に抱き上げると驚いた顔で「ひゃあ」っと抱き付いてきた。
「ソファで寝たらダメだろ」
「……すみません」
抱き上げたまま見つめると、雪菜は戸惑って困った顔をする。それがかわいくて、そのままじっと見つめた。
「……あ、あの」
「なに?」
「重いので、降ろしてください」
「重くないよ」
「……」
雪菜は本当に小さくて軽い。その儚さにますます愛しさが募る。
そのままベッドまで運んでそっと降ろした。組み敷いた途端、潤んだ瞳で見上げるのも、たまらなくかわいい。
「教えてもらおうか」
「?」
「朝から何を考えてたんだ?」
「!」
雪菜が目を大きく開いて顔を赤くしたから、やっぱりエロいことを考えていたんだと確信した。でも、なんでまた朝からそんなことを?
朝、出勤してきた雪菜は、いつも通り静かで凍った空気を纏っていたが、それでもどこかに柔らかい雰囲気も漂わせていた。明らかに休み前とは違う。
メモを渡したくらいで嬉しそうに微笑んで。楽しそうにテキパキと仕事をして。資料を取りに来た柴崎にすら笑顔で対応して。他の男に笑顔を向けるなんて、とメラメラしている俺に気がつく様子もなくて。
雪菜が明るくなっていくのはいいが、他の男の目を惹くんじゃないかと急に不安になった。