嫌われ者に恋をしました

 夢中になって、ついうっかり意地悪王子なんて口走ってしまった。本当に恥ずかしい。しばらくこれをネタに意地悪をされてしまいそう。

 仕事中にエッチなことを思い出したことも言ってしまったし。もう、何も隠していることなんてない状態。

 こんなに全てをさらけ出してしまっていいんだろうか。

 でも、隼人さんを信じて心を開いていることが嬉しい。そんな人に出会えたことが、そんな人から守るなんて言われて、愛されていると感じることが嬉しくてたまらない。

 王子様はお姫様を守るから、なんて……。自分をお姫様だとは考えてもみなかった。

 私はお姫様なんかじゃない。貧乏な平民で、そんな私を身分違いの王子様が救ってくれるからキュンとする。隼人さんは私にとっては身分違いの王子様。そんな私の妄想までバレなくてよかった。私のささやかな秘密。

「雪菜……」

 耳元に聞こえる声に答えて、私も隼人さんの名前を言いたいのに、いつも吐息しか出てこない。

 必死になってしがみ付いた。全部幸せ。こんな風に一緒に感じられることも、何もかも全て。

 隼人さんを愛してる。この人に私の全てをあげる。
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