嫌われ者に恋をしました
雪菜は仙台へ行く前日まで何を持っていくか迷いに迷って当日を迎えた。
新幹線の中の雪菜は落ち着きのない小動物みたいで、俺を見上げてはお菓子を出したり、外を見ては突然トンネルに入ってビクッとしたりを繰り返していた。何度顔を見合わせて笑っただろう。
雪菜から「仙台は思いのほか寒いですよ」と言われていたが、仙台駅に降り立った瞬間、肌に触れた空気が本当に冷たくて驚いた。
仙台は前に一度会合で来たことがあったが、会場は駅から直接行けたし、ほとんど室内にいて外には出なかったから、こんなに寒い印象はなかった。
「ホントに寒い!」
「はい、仙台は意外と寒いんですよ。東北の中でも寒い方なんです」
「そうなんだ……。でも、まだ雪は降ってないんだね」
「仙台はあまり雪は降りませんよ?」
「そうなの?」
「そうなのです」
仙台のことを話す雪菜の瞳は輝いていた。雪菜は仙台が好きなんだろう。
本当はすごく楽しみにしていたに違いない。この一週間、雪菜はずっとそわそわしていた。そわそわして落ち着きがない雪菜もかわいくて微笑んでそれを見ている自分に密かに幸せを感じた。
仙台駅に着いた途端、雪菜は水を得た魚のようにイキイキとして俺の手を引いた。
最初の目的は、まず墓参り。
墓がある寺は仙台の郊外にあり、地下鉄とバスを使って向かった。