嫌われ者に恋をしました

「聞いてないねえ、そんなことは何も言ってなかったと思うよ」

「そうですか……」

 やっぱり。わからないと思った。まあ、そんなに知りたかったわけでもないし。雪菜が仕方ないと微笑むと、ママはハッと目を大きく開いた。

「そうだ!たいへん!そういえば!……まだどこかにあると思う!」

 ママはバタバタと慌ただしく裏へ入って行った。

「なんでしょうね?」

「写真とかかな?雪菜はお母さん似なんだね」

「そうなんです……」

 確かに顔は似ている。でも、お母さんは派手で化粧も濃くて、私はそれが嫌だった。

「これこれ!捨ててなくて良かったわあ!」

 雪菜が隼人と話していると、裏からママが出てきた。手にはお菓子が入っていたと思われる四角い缶を持っている。

 ああ……、たかがお菓子の缶なのにキラキラした安っぽいシールを貼ってデコるなんて、すごくお母さんっぽい!

「これね、あの子が死んでずいぶんたってから見つけたの。でも、中を見たら捨てられなくって。でも捨てなくて正解!あたしって凄いわ」

 興奮ぎみにママは雪菜をまっすぐ見ると、目の前に缶を差し出した。

「開けてみて」

「……いいんですか?」

「いいよ」

 促されて埃だらけの缶の蓋をそっと開けた。

 缶の中はぐちゃぐちゃで、写真とか布っぽいものとかが入っていた。でも、それを手に取って息が止まった。
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