嫌われ者に恋をしました
「……いや、……違うわよね」
きっと、私とお母さんが似ているからびっくりしたんだ。
「母が昔ここで働いていたと聞いていたので、訪ねてみたんです。若菜って名前で働いていたと思うんですが」
ママは目を大きく開いたまま、口に手を当てて何度もうなずいた。
「……やっぱり娘さんよね?あんまり似てるからびっくりしちゃったわよ。あの子、かわいそうだったわねえ、事故なんて……。あんたもずいぶん大人になって。お葬式で会ったの覚えてない?」
そうだったんだ、覚えてない……。
「……すみません」
「まあいいのよ。それにしてもそっくり!一瞬若菜の亡霊かと思っちゃったわよ!」
「……驚かせてすみませんでした」
ママは枯れた声で笑った。
「顔は似てるけど、性格は似てないわねえ。すごく地味だし丁寧だし。若菜って派手で短気でガサツだったでしょ?
……そういえば頭の中身も似てないのよね?あんた、あんな進学校に受かって驚いちゃったわよ!あたし、あんまりびっくりしたから若菜に金一封あげたのよ!」
「……それは知りませんでした」
「なによ、あの子ったら自分でせしめたのね」
そう言って煙草に火をつけると、煙を吐きながら隼人をじっと見た。
「男の趣味も似てないわねえ?若菜ってチャラい男ばっかり好きだったから……。なんか急にいろいろ思い出してきちゃった」
自分に話を振られて、隼人が口を開いた。
「若菜さんから彼女の父親のことって何か聞いていませんか?」
「えっ?この子の父親……?」
ママは顔をしかめて腕を組んだ。