好きからヤンデレ



震える手と足。


でも一番震えてるのは
今の自分の行動と意味のわからないほどに鳴り響く鼓動。





どこにいる?


どうして探してる?


斗真はどこ?


斗真は忘れたはずじゃない。


会いたい。


誰に?会いたいのは智治さんでしょ?


泣きたい。泣きたい。


そう、斗真を思う自分なんていなくなればいい。




こんな自分、今この場で消えれば........








だんだんと走る足が止まる。

疲れた。

疲れた...。

足が悲鳴をあげる。
目からは涙が溢れ頬を伝う。



やみくもにマンションから飛び出して走っては見たものの、何も変わらないいつもの平凡な世界。


気持ちが悪い。

日頃から運動しないとなと思う。
吐く息が生ぬるい。
今のドロドロした自分の心と同じわけで。





あぁ...
そんなことより、
戻らなきゃ




このままここにいてもあてがないし、斗真のお母さんにちゃんと挨拶しないまま別れたのだから。


だけど動かないのは事実。
どうしたらいいっていうの。
私はどうしたいの。



だけど



ザッ



そんなこと考えてる余裕なんて



ザッ


無かった。




後ろから弾む音が消えると









「...空美。」



どこか懐かしい声。


ハッと息を飲む




魔女の作った毒々しいスープ。

私は、飲んでしまうだろう。





イケナイ罠。




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