好きからヤンデレ


振り返ればそこには息を切らした彼。


あぁ、いつかみたことがある。


夕日に照らされた

長いサラサラに前髪

クリクリとした透き通った瞳。


そう、いつか見たことがある。



胸が熱くなる。

声が震える。



会いたかった。



「あ...と、とう...まぁっ...ふっ」


無理だっ


「うん」



彼の姿を見るだけで



涙が



「ふっ...ひっ」




「泣いてるの?」



大量に流れていく。

喉の奥が痛くて、眉間にシワが寄る。


忘れるなんて


「.....すき」


無理なんだ。






一歩

にこっと笑った彼に足が伸びる。



そのまま斗真の胸に飛びこんだ。
転げ落ちるように。


智治のことは好き

だけど、それ以上に
斗真は違う

斗真のことを愛している。


なんて安上がりば女なんだ。

私は、斗真という彼を見るだけで



彼にか見えなくなる。



だから聞きたい。

彼はいなくなった時どう思ってた?


なんで、




「どうしてっどうして!」


いなくなったの?

あの時、何も言わないまま姿を消したの?

聞きたいことはたくさんあるのに



「......。」



何も聞こえてこない。



どうして答えてくれないの。


彼はどんな顔をしてるの?

知りたいのに。離れれないよ。


「好きだよ。私は好き。」



ドクドクと伝わる心臓の音。


わたしのか彼なのか

そんなのわからないけど、


どうしてもこの場所が居心地がいい。



「...空実。ごめんな」



切ない声


あの頃と同じ



そう。あの頃と。



そして決まってそのあとは



この場所から私は放り出されて







「いたぞっ!!!」






離される。





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