近未来少年少女


静まり返った九番街で響いた音、俺はすぐに腰を低くして逃げようとしたが…………もう遅かった


『なにしてんの?』

ビクッと俺の肩が上に上がった

後ろを振り返ると………カシワギが不機嫌そうに立っていた

ど…どうしよう
この状況どうやって説明すれば…………

まさかメグの家に向かってるなんて…………口が裂けても言えない


九番街にメグの家がある事自体、秘密だしカシワギは勝手に縄張りに入られる事を最も嫌う

なにか……
なにかいい言い訳は……


そんな事をグルグルと考えてる中、カシワギの声で俺は固まった


『なにやってんの?って聞いてんだよ』

朝早い事もあって、カシワギの機嫌はいつもより悪そうに見えた


『…………』

俺が黙れば黙る程、カシワギの視線が突き刺さる


『話しに来たんだよ』


沈黙の中聞こえた声


カシワギでも俺でもない…………バッ!と目線を変えるとカシワギの後ろにみのるが立っていた


み、みのる………


見掛けない顔にカシワギの眉間に力が入る


『誰だ?てめぇは』

カシワギはゆっくりとみのるに詰め寄った


『ちょ、ちょっとそいつは………』


俺が間に入ろうとした時、みのるは衝撃的な言葉を口にした


『誰って…俺はみのる、
少し話そうよカシワギ』


みのるは自分の状況を分かっていないのか、至って冷静だった


しかも初対面なのに馴れ馴れしい口調…

カシワギのボルテージが
どんどん上がっていく


やばい…このままじゃ…!
カシワギの手がみのるに伸びた……次の瞬間、


『俺はこの世界を作った人間と同じ名前なんだ』


カシワギの手がピタリと止まった


!!!!!!!



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