近未来少年少女



“私はこの手でたくさんの命を救ってきた”

“地位も名誉も手に入れたのに、なんで自分の息子を助ける事が出来ないんだろう”

“自分が不甲斐なくて情けなくなる”


昨日のおじさんの言葉、その重みが今なら分かる気がした

押し潰されそうな現状の中で

“ミノルはミノルだよ”

“だってミノルはここに居るから”


“ちゃんとここに居るから”


おじさんに向けて言った自分の言葉が、今は俺の背中を押す



『ねぇミノル…友達ってさ作るものじゃなくて、いつの間になってるものなんだって』


『え?』


『だけどさ……ミノルとはいつの間にかじゃなくて、ちゃんとした形を作りたい』


『………』




『ミノル……俺と友達になって』


昨日おじさんに“ミノルと友達か?”と聞かれた時、“はい”と即答できなかった

それはミノルが一回も俺の事を友達だと言わないからだ



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